空港情報
出発機の管制承認/ホームメイト
駐機した状態で、離陸のための準備作業を進める航空機。準備が整った航空機は、その後どのようにして無事に離陸して行くのでしょう。
まずはATCフライトプランの提出から

航空会社の情報収集係、ディスパッチャーが作成した、入念な飛行計画書であるカンパニーフライトプラン。ここには目的地までの気象や風向き、風の強さなどを考慮した上で最適と思われる飛行ルートや巡航高度、予定している飛行時間など、フライトに関するさまざまな情報が細かく記載されています。このカンパニーフライトプランが機長の承認を得て成立すると、今度はこれを元に再編集を行ない、飛行の許可を得るための必要事項のみを記載したATCフライトプランを作成します。これを航空管制に提出(ファイル)して、承認を得ることになります。ATCフライトプランに記載されている内容は以下の通りです。
- 航空機の国籍記号、登録記号、及び無線呼出符号
- 航空機の型式
- 機長の氏名
- 計器飛行方式、又は有視界飛行方式
- 出発地、及び移動開始時刻
- 巡航高度、及び航路
- 離陸から着陸地上空に至るまでの所要時間
- 巡航高度での真対気速度(巡航速度)
- 使用する無線設備
- 代替飛行場・空港
- 持続時間で示した燃料搭載量
- 搭乗人数
(国土交通省「飛行計画記入・通報要領」より抜粋)
管制側の対応
航空機からのATCフライトプランをファイルされるのは、クリアランスデリバリー(管制承認伝達)という業務を担当する、空港の管制塔にいる管制官です。この飛行計画書を各方面に提出して承認されると、それをパイロットに伝える重要な役目を果たしています。この承認がなければ、航空機はエンジンをスタートすることができません。
このプランをチェックする管制機関は、基本的には飛行計画書に記載されたパイロットからの希望をできるだけ尊重するように考慮しながらも、空港管制圏だけでなく、そこを離れたあとの同時刻に同エリアを飛ぶほかの航空機の運航経路などとも照らし合わせます。それらさまざまな要素との折り合いの結果、多少の修正が加えられたATCフライトプランの内容が、クリアランスデリバリーからパイロットに伝えられて、出発を承認することになっています。
駐機場にいる航空機の出発準備が整うと、パイロットはエンジンをかける前に、管制塔のクリアランスデリバリーに無線電話を使って連絡を取り、ATCフライトプランの承認を得ます。始動した航空機はエプロン(駐機場)を出て、滑走路へと続く誘導路を通過して、離陸へと向かうことになるのです。